阿修羅(奈良・興福寺) |
■本籍 起世経 帝釈所問経 他 |
■出身 リグベーダ最古神の鬼神 |
■現住所 須弥山北の大海水底 |
■続柄 八部衆の一人、六道修羅界の王 |
■本籍 起世経 帝釈所問経 他 |
■専門 仏法守護、日蝕、月蝕を行う |
阿修羅はインドの「スラ」という言葉に否定の「ア」がついたアスラの音訳で「非天」「不端正」という意味です。古くは最もすぐれた精霊という意味でした。四大阿修羅というものがあるとされ、それぞれがおごり高ぶっていて、天変地異を巻き起こす元凶になったり、帝釈天にいつ果てるともない戦いを挑む鬼神の姿が経典には説かれていきます。
次のような逸話もあります。元は阿修羅王は天部にあって、警察庁の長官のような役割でしたが、ある日、女好きの帝釈天が阿修羅王の愛娘を見そめ、強姦してしまいます。激怒した阿修羅王は眷属を率いて際限ない正義の戦いを帝釈天に挑むのですが、悲しいことに天部の王の帝釈天にはかないません。挑んでは破れの繰り返し。皮肉なことには、あろうことか娘が何時しか帝釈天と仲良くなってしまうのです。すっかり立場を失った阿修羅王の怒りは頂点に達し戦いの鬼となるのです。そしてついには天界から追放されてしまうという、実に悲しい話です。しかしこんな阿修羅王も何時しか夜叉や龍と共に仏教に取り入れられ、仏教を守護する八部衆の一人として数えられ、救われて行くのです。仏教の懐の深さを物語るお話です。
阿修羅といえばあまりにも有名なのが奈良の興福寺の阿修羅像。あの憂いを含んだ美しいお顔の裏には、父親として戦わざるを得ぬ苦悩と義憤の秘密があったのです。 |
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(この祥琳オリジナルイラストは奈良の興福寺様
から許可をいただいて制作・掲載しています。) |