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No.1 「文殊菩薩立像」 作成日記 |
02年08月27日 |
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釈迦三尊制作の依頼を受け、中心仏の釈迦如来(一尺五寸仏)は完成しております。引き続き両脇侍の文殊菩薩と普賢菩薩に取りかかっております。ここで紹介するのは文殊菩薩(一尺仏)です。
文殊菩薩は右手に剣を持ち、獅子に乗った座像の形でよく表されますが、ここでは獅子座を省略して、すっきりとした立像に致しました。三尊形式ですから、対になる文殊菩薩と腰の振り方が逆方向の左に振ってあり、普段見慣れた右方向に振る形の菩薩像とは異なっているので紹介しました。
この像は三尊とも金箔仕上げを予定しています。漆を何度も塗り重ね、そこに純金の箔を貼りますので、微細な表現よりも全体的な像の持つ優美なシルエットが最も大切な表現ポイントとなってきます。簡素化された像にこそ仏師の本当の技量が問われてくるので緊張して造っています。
写真は粗ごなしが終わり、天衣の襞や宝冠やお顔などの細部に取りかかる直前の状態です。今後塗りの作業の都合で、左右の腕から垂れ下がっている天衣を切り離して仕上げることになります。 |
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2 02年09月01日
台座については、シンプルな古代型を予定しています。蓮華は白蓮華に截金処理。光背は珠光背、純金粉処理。手には宝剣を持ちます。図面を描くときにはふつうの観音タイプの菩薩を左右逆転して用いますが、そのままだと条帛が逆になりますので注意が必要です。あとはふつうの観音様とほぼ同じ彫りになります。 |
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3 02年09月10日
参考作品として普賢菩薩とともに「新潟美術展長岡展」に現在出品中。
全体的に彫り進めています。両腕から下がる天衣は、すでに切り離し作業を完了し、現在は釘で仮付けをしてあります。次には、遅れている宝髻(結い上げた髪の毛)と宝冠の部分、胸飾り(瓔珞)などを造ります。
耳には丸いイアリングをつけました。右手に持つ利剣は別木でこれから作ります。 |
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4 02年09月11日
漆を塗って金箔仕上げにする場合には、ペンなどの書き込みや、日焼け、あるいは、汚れなどがあっても全く平気ですからその点は非常に作業が楽になります。しかし、この文殊菩薩の場合は、展覧会に参考作品として、制作途中経過を見ていただく都合上、ある程度きれいに仕上げています。まだ台座に固定するための、いわゆる「下駄」を足にはかせていませんから、展覧会には両面テープで台座に固定し、倒れないようにして展示してあります。
文殊の智慧といわれるように、聡明な感じがでるようこの段階あたりから注意して彫り進めたいと思います。 |
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5 02年10月19日
あとは髪の毛の毛筋と瓔珞(ようらく)、臂釧(ひせん)を残すのみとなりました。未完成のこの段階で展覧会に出品しました。
本体が完成したら、足に下駄を履かせて、台座にセットできるようにすれば、彫りは完了です。
この後は、漆箔仕上げをすることになります。 |
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6 02年12月26日
瓔珞や臂釧も作り、微調整をして彫りはやっと完成しました。
対になる「普賢菩薩」も一緒に完成しています。
現在、漆箔作業に回しています。1尺仏という小像の漆箔は私も初めての経験、おそらくイメージがかなり変わって仕上がってくると思います。腕の良い職人に掛かると、作品が見違える程グレードアップしてかえってきますので今から非常に楽しみにしています。
完成したら、平成15年の「22回新潟美術展」に展示する予定になっています。
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